Modehaです。最近、 Wikipedia‐ノート:著作権 によく書いてますがそれの続きです。このページでGFDL解釈の変更を発案し、ひとまずはほぼそのままの形で合意がいただけました。
このノートで成立した合意は、「Wikipediaではシステム上の都合によって執筆者名表示が正常に行われない場合があることを全利用者が容認する」というものでした。これにより、たとえば、サーバーのトラブルによって30万件の記事の更新記録が永遠に失われたとしても、最新版のテキストデータさえ誰かが持っていれば、そこから記事を復活させることができます。(これ以前は、紛失した途中の執筆者の名が表示できないから、記事の復活は絶対にできないという解釈を行う方もいました)また、翻訳記事でうっかりinterwikiを貼り忘れても、第2版以降できちんと貼ってあれば大目にみよう、という合意もできました。詳細は上記ノートページをごらんください。
私としてはまずこの合意ができた時点で、これに矛盾する表示の洗い出し(それは、Wikipedia:著作権ページだけとは限りません)を行い、それを一括して変更するのがよいのではないかと考えました。ただ、どうせいじらなけらばならないのなら、次のような点も考慮すべきでは、という意見もありました。
1つはsphl氏からで、GFDL解釈変更ではなく、利用規約で書くべきではないか、という意見がありました。
もう1つは、Tomos氏からで、システムの都合以外の理由(記事を書く上での利便性)でGFDL不整合が生じるのも容認しよう、という意見があります。これはTomos氏がどの部分を書き換えるか考えてくださるということなので、それを待っている段階です。
私からの新たな提案は2つあります、1つ目は、ほとんど誰も使っていない「/履歴」による履歴複写は制度から除外すべきではないか、ということです。詳細は上記のノートページに書いたので繰り返しませんが、ほとんど誰も使っていないのと、編集の要約で元の記事名を書けば十分だというのが理由です。
もう1つ。 Wikipedia:著作権ページ では記事の外部利用について相当大きな条件がつけられており、実質的に外部利用はできない状態になっています。特に、Wikipedia内の過去の全部の版へリンクを貼れ、とかいうのは、GFDLを盾にWikipediaの記事の外部利用を実質的に禁じているようにしか見えません。Wikipedia内では、既にある記事の内容を利用する場合、元記事へのリンクを貼ればよいことで合意したのだから、外部利用に対してだけ厳格な利用を要求するのではなく、これももっと簡便にすべきでは?というのが2つ目の提案です。
Modeha
sphlです。
At 2004/06/29 22:24:56 modeha@mail.goo.ne.jp wrote:
ModehaさんMLへようこそ(といっても私もまだ参加以来半月も経っていませんが) ちょっとご提案を検討しますので、今具体的なコメントはしませんが、とりあえ ず受信の確認ということで。
----------------- Sphl at Wikipedia sphl@pan.tok2.com
-------------------------------------------------- タダでHP容量無制限! HPを作るなら、何でもそろう【トクトク】で! http://tok2.com/
sphlです。
At 2004/06/29 22:24:56 modeha@mail.goo.ne.jp wrote:
私からの新たな提案は2つあります、1つ目は、ほとんど誰も使っていない 「/履歴」による履歴複写は制度から除外すべきではないか、ということです。
Wikipedia内では、既にある記事の内容を利用する場合、元記事へのリンクを 貼ればよいことで合意したのだから、外部利用に対してだけ厳格な利用を要求 するのではなく、これももっと簡便にすべきでは?というのが2つ目の提案です。
まずは、議論提起ありがとうございます。
1.まず、Wikipedia内部における履歴記載の簡略化の件。
1.1 必要とされる根拠について
(1) GFDLの「4. 改変」のB項にオリジナルの著者5名以上の列挙を規定 (2) 同、I項にオリジナルの「履歴」の章を残すよう規定 (3) 同、J項にオリジナルおよび過去版のURLを残すよう規定 (4) B項ではこれらをタイトルページに書けとなっており、 [[Wikipedia:著作権]]の解釈宣言ではタイトルページを次のように 解釈しています。 (4-a) 記事の上下左右のインターフェース部分の記述とそこから たどれるリンク、および (4-b) 記事冒頭のサブページ(現状は「記事名/履歴」サブページが該当) からたどれるリンク
1.2 検討
(1) 解釈宣言に従い、リンクをたどった先に履歴があればよいのであれば、 別にサブページに履歴を残さなくとも、投稿時の要約欄あるいは記事本文中 に元記事とその版数を特定できる記述(一般的にはリンク)があれば足りる から、サブページへの履歴コピーは不要という主張もできます。
(2) 履歴を残す理由は、元記事が削除された場合のため、とされています。 (「3.6 ウィキペディアにおける翻訳」)。
・履歴をリンクのみに頼ると、元記事が移動され、その後元記事名の リダイレクトが削除された場合も、オリジナルの履歴にたどり着けなく なる可能性があります。記事の移動時に、二重リダイレクトを避けるた め 元リンクを修正することを推奨しているが、必ず実行される保証は ありません。また、これを怠ることでGFDLに反する可能性があることを 認識している人は殆どいないのではないかと思われます。 ・但し、元記事が削除されるときには、そこから派生した記事も削除すべきで、 削除を想定した履歴保存が果たして必要なのか、との問題提起があります。 (Suisuiさん@井戸端BBS)。 特に著作権侵害などの場合削除の可能性は高そうです。
1.3 結論
私はまだ結論は出せません。リンクのみだとどうしても履歴へのリンク切れの 可能性を捨て切れません。後々のリンク切れは改変版を作成した人の責任では ないので構わないとするのか、リンク切れ後はGFDLを満たさなくなる可能性が あるのでそもそもリンクで履歴を示すのはまずいとするのか、判断が分かれると 思います。
また、翻訳の場合これをやっているのはおそらくJAだけでしょうか。そんなに あちこちの記事を網羅していませんが、自分が関わったもので調べると [[ヴェルナー・フォン・ブラウン]]は英語版がスペイン語版に翻訳されて いますし、ドイツ語版でも一部取り込んでいるようですが、履歴のコピー まではありません。日本語版の初版は私ですが、当時このようなことをやる べきとは知らなかったので何もありません。
各国間の翻訳でこの方式を殆ど採用していないということであれば、使わない ことで互いに了解しているものとみなせるということかもしれません。
他の人も含め追加意見に期待します。
2. 次に外部へのライセンス時における履歴保存の簡略化案について
2.1 必要とされる根拠
(1) そのままコピーであればGFDLの「2. 逐語的に忠実な複製」が適用される ので、履歴保存は不要です。「3. 大量の複製 」を考慮しても同様。
(2) 内容を変更する場合は「改変」にあたるので4条が適用され、1.で議論 した履歴保存の義務と同じになります。 (2-a) GFDLの「4. 改変」のB項にオリジナルの著者5名以上の列挙を規定 (2-b) 同、I項にオリジナルの「履歴」の章を残すよう規定 (2-c) 同、J項にオリジナルおよび過去版のURLを残すよう規定
2.2 検討
まず、GFDL上「過去版(Wikipediaのデータベースにおける過去の版)のURLを すべて残す」ことが要求されているかどうかですが、これは不要と考えます。
Tomosさんは「ネットワークロケーションの保存(4条のj)は、リンクを 義務づけているのではなく、URIのデータをとっておけ、ということ」と しておられます。ちょっと意図がわかりませんでしたのでGFDLの原文と 合わせてじっくり考えると、次のようなことと思えますが、どうでしょうか。 (2-a) オリジナルがネット上にある場合、最新版のURLを提供すること (2-b) 旧版がネット上の別な場合にあるなら、そのURL(複数あればす べて)も提供すること
つまり、オリジナル自身が別な場所にある文書を元にした二次著作物で あることを想定したものであろうという解釈です。Wikipediaにおいては、 内部の各版に対するURLをすべて提供しろということではなく、偶々その 記事が外部のGFDL(および互換性のある)ソースを使用しており、その URLが記載されていたらそれも残す(preserve)ことを要求されているの であろうと。
以上を前提にすれば、外部で利用する際に必要な履歴関係の記述は、 (1)元記事のURL (2)元記事の履歴(著者リストを兼ねる)のコピーおよび (3)外部での改訂履歴 ということになります。
さて、Modehaさんはこれも(1)元記事のURLだけで良いことにしようという 提案をされているわけですが、GFDLの条文からはそこまで拡大解釈はでき ないように思います。明確にやるように書いてあることですから。
Modehaさんのお考えと異なり、法的あるいはライセンス的には「Wikipediaは 百科事典であると同時に『GFDL文書を集めたも』」と考えるしかありません。 #GFDLの有効性について判例がないといった話は一応棚上げにしますが。
これはGFDLが好きとか嫌いとかいう問題ではなく、一度採用したらそれを 取り消せないGFDLを採用した以上どうしようもないことです。
いずれにせよ、Wikpediaからコンテンツを取り出して変更のうえ自分のコン テンツを作る人はそれ以降もWikipediaの活動とは独立にGFDLに従うことを 要求されます。自分で改訂すればそれを履歴セクションに記録する必要が あるのですから、Wikipediaから履歴をコピーしていくことを義務付ける ことはそれほど外部での利用を困難にしているとは感じられません。
また、「Wikipedia内部でGFDLによる履歴の保存が厳格にできない」ことと 外部に対するGFDLライセンスができないということは直結しないのではない でしょうか。そもそも、履歴が保存されないのは削除などがあった場合で あり、その場合でも(道連れになった適法な版を復活する際などに)削除前 の履歴を複製してくるという方法はあるわけです。これは今回必ずしも しなくてもよいことになりましたが、もとの著作者がそうしてほしいという ことであれば削除実施時にそういう処置をしたほうがよい思います)。
移動で記事名称が変わる点はありますが、著作者の投稿記録は移動先の記事 において保存されていますから、その貢献の大部分はシステム上維持されて いると考えます。従って、外部に対しGFDLでライセンスすることを言い出す ことがはばかられるほどのいい加減な仕組みではないと考えますが如何で しょう。もちろん、仕組みを悪用すれば「履歴のロンダリング」のようなこと を始めいろいろできてしまいますが、そういうことは著作権侵害などと同じく 参加者の相互監視で防止していくべきものと思います。
2.3 結論
以上、私としてはWikipediaに外部のGFDLの素材を受け入れる場合、および Wikipediaから外部にコンテンツをライセンスする際にはGFDLの要求事項を 省略しないほうが良いと考えます。
(補足) 但し、現在の[[Wikipedia:著作権]]の記述を見直さなくて良いかどうかは 別問題です。2,2の前半で検討したように書いてあることが今ひとつわかり にくいので誰でもわかるように改訂する必要性はあると思います。 また、Wikipediaの内容を外部で使う人の立場で書いたHowtoマニュアルを [[Wikipedia:著作権]]とは別に設けることが良いと思います。 つまりGFDLの解釈宣言(定義)と、Wikipediaの利用者(閲覧/編集別に) のなすべきことを分離して後者は誰でもわかりやすい表現で書き直すべき でしょう。
長くなりましたが、6月28日と29日のModehaさんのご提案に対しての コメントとさせていただきます。よろしくご検討お願いします。 ----------------- Sphl at Wikipedia sphl@pan.tok2.com
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Suisuiです。
いろいろ述べたい点はありますがとりあえず一点だけ。
On 2004/06/29, at 22:24, modeha@mail.goo.ne.jp wrote:
Modehaです。最近、 Wikipedia‐ノート:著作権 によく書いてますがそれの続きです。このページでGFDL解釈の変更を発案し、ひとまずはほぼそのままの形で合意がいただけました。
このノートで成立した合意は、「Wikipediaではシステム上の都合によって執筆者名表示が正常に行われない場合があることを全利用者が容認す る」というものでした。これにより、たとえば、サーバーのトラブルによって30万件の記事の更新記録が永遠に失われたとしても、最新版のテキストデー タさえ誰かが持っていれば、そこから記事を復活させることができます。(これ以前は、紛失した途中の執筆者の名が表示できないから、記事の復活は絶対 にできないという解釈を行う方もいました)また、翻訳記事でうっかりinterwikiを貼り忘れても、第2版以降できちんと貼ってあれば大目にみよ う、という合意もできました。詳細は上記ノートページをごらんください。
この合意についてですが、反対します。
Modehaさんの意見は[[Wikipedia‐ノート:著作権]]多数書かれていますがその根拠と思われるのが
よくよく読んでみると、投稿された記事は、GFDLの定めに従って再配布・改変されることがある、 とは書いてありますが、文書がWikipedia内でGFDLのすべての条項に完璧に適合する形で 保存され続けることを保証するとはどこにも書いてありません。
以外にみつけられないからです。
過去の履歴は常に download.wikipedia.orgからDL出来る形で公開されており、 誰でも保存することができますし、少なくとも私は相当数のoldを含めた履歴を保持しています。 また、これはバックアップであり、Wikipedia財団のサーバは常に2重以上のバックアップ体制を取っています。 にもかかわらず履歴が失われた例は 6/8のサーバクラッシュによる3件(いずれも英語版、最後に更新されたもの)だけです。 データベースの動作を理解されていればどうして最後の物が失われたかは 簡単に想像がつくと思います。 またこれは復旧作業中の人為ミスによる物で システム上の問題に起因する物ではありません。 失われた記事は残っていたoldの版から再度執筆された模様です。 よって、履歴のみが失われる、という考えはナンセンスと感じます。
著作権とGFDL解釈の議論が出るたびに私はいろいろな点で反対をしていますが それはIRCで開発者達との議論で常に以下のことを言われるからです。 ・ *.wikipedia.orgや*.wiktionary.orgはサーバレンタル事業ではない ・ Mediawikiソフトウェア、GFDL、NPOV(中立的な観点)はMediawiki財団のプロジェクトの中核であり これを守らない物ならば他所で自分で起こせばいい ・ dual Lisencingや国の法律にあわせた解釈は存在するかもしれない。 が、それをルールとするかどうかについてはJimboの判断が必要だ。
GFDLの解釈についてあくまでも日本語版独自で動こう、とされる方が多いのですが 現在ja.wikipedia.orgでのプロジェクトは 私を含めたウィキペディアコミュニティに運営を依託された形ではありますが、 運営とそれにまつわることすべてをまかされているわけではありません。 ja.wikipediaはあくまでウィキメディア財団のプロジェクトの一つでしかなく、 ライセンスなどについては特に慎重に動くことが求められることと認識しています。
さらに上記Modehaさんの意見については日本法など地域に基づく解釈では決してなく、 他言語版でも同様の解釈が成り立ちえる物といえます。 しかし個人、もしくはmediawikiのプロジェクトの中ではほんの一部で出た意見にすぎませんし 内容的にはGFDLの重要な一部を無視する形になる物です。 そのため議論を止める形ですみませんが、内容についてJimboさんへの確認を求めます。
ライセンスについての議論は英語版や他言語版でも続いており フェアユースがGFDLと必ずしも適合しないと言う理由から 英語版で画像の大量削除がされるなど現在でも状況は動いています。 それらの動きと独自に、と言う点でも私自身としては反対なのですが 早急に議論をまとめる方向で進めることにも反対をします。(○○時間とか○○日とか)
現に、内容を追いきれているのは Modehaさん、Tomosさん、sphlさん、oxhopさんだけであるように感じます。 このまま議論を続けるのでしたら もう一度全体に見える場所で[[ノート:フォークランド諸島]]での議論も再検討し 新たな提案などをするのであれば提案の文書とともに 議論を逐一追いかけていないユーザーへの広報用の説明を同時に求めます。 でないとsphlさんが13:11 2004年6月21日 (UTC)に書かれた 「手続き上、合意形成の前に既定事項であるかのように提示されたことに対する疑問」 を再び繰り返すだけのことになると感じます。 今既に繰り返し始めていると感じている方もいと思うのですが、どうでしょうか。
以上です。
Suisui(Suiwiki@mac.com) [[meta:User:Suisui]] [[利用者:Suisui]]
From: Sui Min To: Mailinglist of Japanese Wikipedia wikija-l@Wikipedia.org Sent: Sun, 4 Jul 2004 05:22:46 +0900 Subject: Re: [WikiJA-l] 挨拶とGFDL解釈
のメールを引用しつつレスします。
著作権とGFDL解釈の議論が出るたびに私はいろいろな点で反対をしていますが それはIRCで開発者達との議論で常に以下のことを言われるからです。 ・ *.wikipedia.orgや*.wiktionary.orgはサーバレンタル事業ではない ・ Mediawikiソフトウェア、GFDL、NPOV(中立的な観点)はMediawiki財団のプロジェクトの中核であり これを守らない物ならば他所で自分で起こせばいい ・ dual Lisencingや国の法律にあわせた解釈は存在するかもしれない。 が、それをルールとするかどうかについてはJimboの判断が必要だ。
GFDLが財団の中核だ、あるいは特定の解釈を採用するにあたって財団の合意が必要、というのは誰が言ったかわかりませんが、財団側の意向を聞いてみるのはよいと思いますのでいいんではないでしょうか。
GFDLが窮屈だということについてはJimboさんも何度も公言していますし、GFDLを字義通りに読むと ウィキペディアの仕組みと齟齬をきたすことについてもよく知っていますので、それほど難しい話でもないでしょうし。
ただ、もちろん、コピーレフトでないような(コンテンツの自由利用が保証される仕組みになっていないような)ライセンスにすりかえてしまうとしたら、それは問題だと思いますが。
ちなみに最近、英語版で長い間議論や改訂を経た投稿者規約のようなものが導入されたところ、それが財団と投稿者との契約という形をとっており、財団はそもそもその規約に賛成したわけでもないのに導入しては困る、と批判が出るといったことがありました。
日本語版では財団は契約の当事者にはなっておらず、投稿者の間の解釈についての合意があるだけで、英語版のような問題はないですが。
それから、フォークランド諸島の件については、ModehaさんがWikipedia‐ノート:著作権の方に既にまとめを出していた気がしますが、次のメールでまとめを送ってみます。
このまま議論を続けるのでしたら もう一度全体に見える場所で[[ノート:フォークランド諸島]]での議論も再検討し 新たな提案などをするのであれば提案の文書とともに 議論を逐一追いかけていないユーザーへの広報用の説明を同時に求めます。 でないとsphlさんが13:11 2004年6月21日 (UTC)に書かれた 「手続き上、合意形成の前に既定事項であるかのように提示されたことに対する疑問」 を再び繰り返すだけのことになると感じます。 今既に繰り返し始めていると感じている方もいと思うのですが、どうでしょうか。
僕が全てを追いきれているかどうかはわかりませんが、簡単なまとめを次のメールで送ってみます。
Tomos
以下、最近のGFDLと著作権にまつわる議論のまとめです。
ご存知の方はフォローや訂正などをお願いします。ご存知でない方は、質問などをお願いします。
それから、ここでウィキタグを使っても参照はできないので、一応URLもつけときます。ちょっと煩わしいですが。
1)議論の流れと議論の場所
A) [[ノート:フォークランド諸島]]:記事の再投稿と履歴
[[ノート:フォークランド諸島]]で議論がありました。参加者はModehaさんとOxhopさん、 Johncapistranoさん。議題は、「削除された記事の一部を再投稿する際に、削除される前の履歴情報を 一緒に投稿しなければならないか? しなかったらGFDL違反になるか?」というものです。
(ノート:フォークランド諸島) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%E3%83%95%E3%82%A9%...
B) [[Wikipedia‐ノート:ページ名の変更]]:履歴とGFDL
これとの関連で、[[Wikipedia‐ノート:ページ名の変更]]で、履歴についての解説ページがあるとよい という意見が出たので、とりあえずこれまでの議論などをまとめる形で、僕が[[Wikipedia:履歴]]ページ を作成しました。同ページのノートでも少しだけ関連の議論が行われました。参加者はOxhopさん、 Johncapistranoさん、Tomosです。
(Wikipedia‐ノート:ページ名の変更) http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia%E2%80%90%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%...
(Wikipedia:履歴) http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:%E5%B1%A5%E6%AD%B4
(Wikipedia‐ノート:履歴) http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia%E2%80%90%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%...
C) [[ノート:フォークランド諸島]]:履歴とGFDL それから[[ノート:フォークランド諸島]]での議論にSphlさん、Tomosが参加しました。 ここでは、更に話題が広がり、以下のような点に及ぶ議論になりました。
−移動の手続きはGFDLに違反しているのではないか? −ウィキペディアの参加者は、GFDLとウィキペディアの間に齟齬があることを了解していて、合意の上で 投稿しているのではないか? −GFDLでは、履歴の保存よりも、自由な配布や改変の方が重要であり、両者が矛盾する場合には自由を優先 すべきだと言えるのではないか? −そもそもウィキペディア内での文書の取り扱いはGFDLに従っている必要がないのではないか? −GFDLでは、自由な利用や配布を制限することを禁止しているので、「履歴をつけない限り削除された記事の 文章を含む再投稿してはいけない」などというのはそれ自体GFDL違反ではないか?
これらの問いはいずれも、「削除された記事の文章の一部を再投稿する場合には、その削除された記事の履歴を 一緒に投稿しないといけないのか?」という問いに関わっています。 「そうしなくてもGFDL違反にはならないのではないか」 「そもそもGFDLは考慮しなくてもよいのではないか」 「GFDLが不完全にしか適用されないことはみんな承知の上でやっているのではないか」 などなどという意見になっています。
結論としては、そうとも言い切れない部分が残るから、もう少し明白な合意をとるようにしよう、という ことになったと言ってよいかと思います。
明白な合意、というのは、ここでは「Wikipedia:著作権」の書き換えです。このページの内容は、 投稿者の方が投稿ボタンを押す時に合意する内容ですので、このページで「投稿された文章の履歴が 一部きちんと保存されないことがあってもいい」と表明されていれば、それが、投稿者の合意だという 証拠のような形になります。
(ノート:フォークランド諸島) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%E3%83%95%E3%82%A9%...
D) [[Wikipedia‐ノート:著作権]]:履歴が保存されない場合があってもよいか
上記の書き換えを念頭におきつつ議論の場所を、[[Wikipedia‐ノート:著作権]]に場所を移すことになりました。
Wikipedia‐ノート:著作権での議論の参加者は、KIZUさん、Modehaさん、Oxhopさん、Sphlさん、Tomos。 Tietewさんも書き込みをされていますが、議論の内容については触れていません。
いろいろな話題が出ましたが、とりあえずの焦点としては、「システム上履歴がきちんと保存されないことがある」 という主旨の文をWikipedia:著作権に追加することの是非でした。
Wikipedia:Recentchanges Wikipedia:重要な議題 などに通知が出たのもこの時期です。
(Wikipedia‐ノート:著作権) http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia%E2%80%90%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%...
E) [[Wikipedia‐ノート:著作権]]および WikiJA-l :ウィキペディアとGFDL
書き換えが行われた後に、引き続き議論が行われました。
また、同じ話題について、このメーリングリストにも投稿がありました。投稿者は Modehaさん、Sphlさん、Suisuiさん、Tomosです。
議題は、ウィキペディアとGFDLの関係一般に及んでいます。また、それに対する対処案についても。
−ウィキペディアの仕組み上、GFDLの字義通りの解釈と辻褄があわない点にはどのようなものがあるか? −GFDLを字義通りに守った場合に生じる弊害にはどのようなものがあるか? −GFDLの字義通りの解釈から外れる部分について、どのように対処すべきか? −Wikipedia:著作権をもう少しスリムにするべきではないか?
これらのカテゴリに属する話題の中でも比較的多く言及されるのは次の点です。 −GFDLの4条のIで義務付けられている履歴保存を行うために、これまでのところ、履歴保存のためのサブページがWikipedia:著作権で要求されているが、これが実は義務ではないという可能性があるか? −GFDLの4条のJで義務付けられているネットワークロケーションの保存はどのように扱うのがよいか?
ちなみにこれらの議論については、結論らしい結論はまだ何も出てないと言ってよいかと思います。
(Wikipedia‐ノート:著作権) http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia%E2%80%90%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%...
とりあえず今頭の中にあるものだけで書いているので、あちこち抜けているかも知れないですが、訂正、ツッコミ、質問などどうかよろしくお願いします。
Tomos
sphlです。
At 2004/07/04 05:22:46 Sui Min wrote:
現に、内容を追いきれているのは Modehaさん、Tomosさん、sphlさん、oxhopさんだけであるように感じます。
果たして追いきれているか(^^;;
で、ひとことだけ。
このまま議論を続けるのでしたら もう一度全体に見える場所で[[ノート:フォークランド諸島]]での議論も再検討し 新たな提案などをするのであれば提案の文書とともに 議論を逐一追いかけていないユーザーへの広報用の説明を同時に求めます。
前回Wikipedia:著作権のノートで提案したように、これまで(少なくとも今年の 始めからのT.NakamuraさんとTomosさんを中心とする議論開始以来)を整理して 皆にわかりやすくし、多くの人に議論に参加してもらう努力をすべきだと思いま す。いろいろ展開が急なので、やりたいと思ってもぜんぜんてがついていないの ですが。
現状のWikipedia:著作権での解釈がなぜそうするのが一番自然、ということに なったのかを共有してからでないと、なぜそれを直すのか直すことでどうなる のか、といった議論には入り難いと思いますので。
もちろん、その解釈の是非も議論すべきです。 ----------------- Sphl at Wikipedia sphl@pan.tok2.com
-------------------------------------------------- タダでHP容量無制限! HPを作るなら、何でもそろう【トクトク】で! http://tok2.com/
Suisuiです。
On 2004/07/04, at 9:39, Sphl wrote:
sphlです。 At 2004/07/04 05:22:46 Sui Min wrote:
現に、内容を追いきれているのは Modehaさん、Tomosさん、sphlさん、oxhopさんだけであるように感じます。
果たして追いきれているか(^^;;
と言うことでやはりスピードダウンした方がよいように思います。 私も専門家ではありませんし ウィキペディアの記事同様、背伸びしてもなかなかいい結果は出ないと思います。 今回私が口を出したのはGFDLのWikipedia内の解釈だけですが 一つずつ区切り理解し合いながら行くような形が望ましいと考えています。
現状のWikipedia:著作権での解釈がなぜそうするのが一番自然、ということに なったのかを共有してからでないと、なぜそれを直すのか直すことでどうなる のか、といった議論には入り難いと思いますので。
同感です。 また、こちらよりも[[Wikipedia‐ノート:管理者への立候補]]で提案されている ・管理者の資格 ・合意形成への投票制度の導入 ・0null0さんが以前から提案されている即時ブロック周りの明文化 のほうが優先順位的には高いように思います。 GFDL周りは始める前から泥沼化が見えていますし、 話を進める上でもこれらのことが必要になってくるように思います。
http://www.wikipedia.org/wikistats/JA/PlotsPngArticlesTotal.htm http://www.wikipedia.org/wikistats/JA/PlotsPngArticlesTotalAlt.htm などを見る限り、en,deの両言語とも、5万記事をすぎたあたりで記事数、ユーザー数 共に増加のスピードが速まっており、日本語版も少し送れながら似た結果をたどることになると 予想されますので、これからsysopの増加と たまっている懸案事項を処理するために合意プロセスに投票を加えることは早急に必要と思われます。
以上です。
Suisui(SuiWiki@mac.com) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85:Suisui http://meta.wikipedia.org/wiki/User:Suisui
From: Sphl To: Mailinglist of Japanese Wikipedia wikija-l@Wikipedia.org Sent: Sun, 04 Jul 2004 09:39:17 +0900 Subject: Re: [WikiJA-l] Re: 挨拶とGFDL解釈
から抜粋・引用しつつお返事します。
At 2004/07/04 05:22:46 Sui Min wrote:
このまま議論を続けるのでしたら もう一度全体に見える場所で[[ノート:フォークランド諸島]]での議論も再検討し 新たな提案などをするのであれば提案の文書とともに 議論を逐一追いかけていないユーザーへの広報用の説明を同時に求めます。
前回Wikipedia:著作権のノートで提案したように、これまで(少なくとも今年の 始めからのT.NakamuraさんとTomosさんを中心とする議論開始以来)を整理して 皆にわかりやすくし、多くの人に議論に参加してもらう努力をすべきだと思いま す。いろいろ展開が急なので、やりたいと思ってもぜんぜんてがついていないの ですが。
現状のWikipedia:著作権での解釈がなぜそうするのが一番自然、ということに なったのかを共有してからでないと、なぜそれを直すのか直すことでどうなる のか、といった議論には入り難いと思いますので。
もちろん、その解釈の是非も議論すべきです。
少しやってみます。
1)これまでの議論
まず、既にある文章が3つぐらいあると思います。
T. NakamuraさんやTomosがやった議論の結論の要点は、井戸端BBSの方で 一度紹介され、意見を募っていました。2月末ごろのことです。
http://taurus.kake.info.waseda.ac.jp/wikip/joyful/joyful.u.cgi?mode=res&...
この際は引用や商標、画像の扱いなどが主な議論になりましたが、履歴の 扱いについては特に異論も質問も出なかったように記憶しています。
それから、「Wikipedia:履歴」のページでは、最後の方にQ&Aの形式をとって、 簡単な解説を付しました。先月のことです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia%E2%80%90%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%...
先月はもうひとつ、「Wikipedia‐ノート:著作権」の長大な議論をとりあえず 最新版からは取り除いて、当面の議論に関係がありそうな部分のみを まとめました。現在「特に関連のある議論」というセクションにまとめられている ものがそれです。これも疑問と回答、という形式をとってそれまでの議論の一応の 到達点をまとめたものです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia%E2%80%90%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%...
2)これまでの議論への簡単な入門
著作権法も、GFDLも知らない、という方にこの議論についてきてもらうのは 正直気が遠くなるほど大変なことのような気がしますが、ウィキペディアにとっては 利益になることだと思うので、一応簡単な説明を試みます。
例によって、質問、訂正などありましたらお願いします。
それから、以下の話は、僕の知識不足と、話をわかりやすくする都合上、おおざっぱな話 になっています。実際にはいろいろと例外があったり、用語の使い方が正確でなかったりする 部分もあります。
A GFDLとウィキペディアの基本的な関係について
そもそもGFDLとは何で、ウィキペディアにどう関わっているのか、という点を書いてみます。
GFDLというのはGNU Free Documentation Licenseの略で、ライセンスの一種です。 ライセンスというのは、ここでは、ある権利を持つ人が、自分の権利に基づいて 他人に許可を与えるもの、というぐらいに考えるとよいかと思います。
「ここは自分の土地だが、お金を払った人は駐車場として使ってもいい」、という許可と 似たようなものです。 (微妙に違うと思いますが、それをうまく説明できる方のフォローをお待ちしています。)
GFDLの場合には、土地に関する権利ではなくて、著作物をめぐる権利(著作権)が、 主に問題になります。
「これは自分の著作物なので、どういう風に利用するか、しないかについていろいろ 自分が権利を持っているけれども、一定の条件を満たすことと引き換えに、誰でも 使っていい」というのがGFDLの要点です。(と僕は理解しています。)
ウィキペディアにそれがどう関係するか、というと、「自分はウィキペディアに文章を 投稿するけれども、投稿した文章は、一定の条件を満たすなら、他の人が自由に書き換えたり、 プリントアウトして販売したり、他にもいろいろなことに使っていい。」という許可が、 ウィキペディアの文章についてはあります。この許可の具体的な内容は、GFDLと呼ばれている 文書にあたります。
そこで、GFDLを読むと、何が許可されているのか、どういう条件を満たさないと いけないのか、がわかる仕組みになっています。
この許可の内容については、ウィキペディアの参加者の誰かが書いたわけではありません。 GFDLというのはウィキペディアが出来る前から存在していました。既に他の人が 作成したものが、「もしも自分の文章などを他の人が自由に利用してもいいと思う人は、 このGFDLをつけて公開すれば、そういう許可をきちんと出す助けになるかも知れません」 というような形で、提供されていたものです。で、ウィキペディアもそれを採用することに したわけです。
ちなみに、ウィキペディアでは他人の投稿した文章を書き換えてよいことになっていますが、 これは、GFDLのお陰でそうなっています。ウェブサイトなどで見かける文章を勝手に コピーして書き換えてどこか別の場所に投稿すると、それは元の文章を書いた人の権利を 侵害することになってしまいますし、結果として訴えられたり、賠償金を払わなければ ならなくなったりすることもあります。
ですが、GFDLで提供されている文章は、一定の条件を満たす限り、書き換えてもよい ことになっています。
GFDLの要求事項の中にはいろいろなものがありますが、「このGFDLで提供されている 文章をを改変したりコピーしたりしたら、そうやって出来た文章も、同じGFDLの条件 によって他の人が利用できるものとして提供しなければいけない」という主旨のものがあります。
今回の一連の議論は、「GFDLはどうもウィキペディアにとっては都合のいいこと ばかりではなく、要求事項の中にはいろいろ面倒なものがある」という話なの ですが、「面倒だからと言ってGFDLの内容を変えることはできない。では何ができるか?」 というのがひとつの大きな問いです。
もうひとつ、GFDLはもともと、本を書いて発表する人や、本の出版社などが使うための ライセンスとして用意されています。そこで、ウィキペディアのようにウェブサイト中心で、 かつ百科事典で、しかも膨大な数の参加者が次々書き換えていく、というようなプロジェクト のことは必ずしも想定されていません。そこで、「GFDLはウィキペディアにあてはめて考えると どうなるのか?」という疑問があちこちに出てきます。
この2つの問題「ウィキペディアに都合の悪いGFDLの制限事項」と「ウィキペディアにGFDLを どうあてはめたらいいか」は互いに関連しています。ある特定の形でGFDLをウィキペディアに あてはめると、ある種の問題はそもそも存在しないことになります。
B 「解釈」の問題
GFDLがウィキペディアにどういう風にあてはめられるのか、という問題の例として、「Work」 とか「Document」と呼ばれるような、基本的な作品の単位がウィキペディアでは何にあたるのか、 というものがあります。
ウィキペディアは現在80以上の言語で展開されている百科事典ですが、それら全てがひとつの 作品なのでしょうか。 それとも、日本語版なら日本語版が、ひとつの作品でしょうか。それとも日本語版の中でも別々 の記事は別々の作品でしょうか? そういう点については、GFDLを読んでも直接的な回答は 書いてありません。(GFDLはウィキペディアを想定して作成されたものではないので当然と 言えば当然です。)
そして、これについてメーリングリストなどで他言語版の人に聞いてみると、実際に人によって 違った答えが返ってきます。(全言語版併せてひとつの作品だ、という人もいました。)英語版 なら英語版の中で統一見解があるか、というと、そうとも限らないようです。(日本語版では、 一応統一見解が存在しています。)
GFDLには、いろいろな要求事項が含まれているわけですが、ウィキペディアで何をするとGFDLの 要求事項に違反することになるのか、何をするとGFDLの要求事項を満たすことになるのか、は、 作品の単位が何であるかによって違ってきます。
例えば、「ある文書 A の一部を利用して別の文書 B を作成する場合」には文書 A の著者名など を文書 B に明記しておかないといけない、というような要求事項があります。これを ウィキペディア内で文章をコピー&ペーストする場合にあてはめると、次のような2通りの 可能性が考えられます。
可能性1) ある記事 A の文章をコピーして、別の記事 B に投稿した場合には、2つの記事は別々の 作品なので、記事 A の投稿・編集者のリストを記事 B に明記しておかないといけないことになる。
可能性2) ある記事 A の文章をコピーして、別の記事 B に投稿した場合には、2つの記事は、 同じひとつの作品の別々の部分にあたるので、記事 A の著作者リストをわざわざ記事 B に 明記しておかなくてもよい。
他にもいろいろな可能性が考えられますがそれは省略します。
もうひとつ、同じ要求事項について、ウィキペディアの記事を1本、ウィキペディア外の自分の ウェブサイトに掲載したい場合にあてはめて考えて見ます。
可能性1) ある記事 A の文章をコピーして、別のウェブページ B を作って公開した場合、元の 記事と自分の作成したウェブページとは別々の作品なので、記事 A の投稿・編集者のリストを ウェブページ B に明記しておかないといけないことになる。
可能性2) ある記事 A の文章をコピーして、別のウェブページ B を作って公開した場合、 元の記事はウィキペディア日本語版という作品の一部で、自分の作成したウェブページとは 別々の作品なので、記事 A を含むウィキペディア日本語版の著作者リストを、ウェブページ B に 明記しておかなければいけない。
この他にもいろいろ考えられますが、それも省略します。
以上のように、ウィキペディアにおける作品の単位は何か? という問題ひとつとっても、 それに対する答え次第で、何がGFDLに違反することになり、何がGFDLの要求事項を満たすこと になるのか、が違ってきます。
これがGFDLの解釈の問題です。
3)議論の大枠
以上のような議論を含む、更に大きな文脈についても書いておきます。
そもそも何故GFDLについて議論する必要があるのか。そもそも何故ウィキペディアと GFDLの関係についてそれほど問題になるのか、といった点です。これも、上の説明と 同じく、概略ですのでいろいろ例外について述べていなかったり、厳密には正しく なかったりすると思いますが。
GFDLにはいろいろな要求事項があるので、うっかりしているとそれを守らないことに なります。守られなかった場合、それは著作権侵害にあたることになります。
著作権侵害があった場合には、侵害された人が、侵害した人を訴えて賠償や謝罪などを 要求することがあります。
それから、具体的に著作権侵害があることを知らされた場合、管理者は、リーズナブル な時間内に削除などで対応する義務があります。これは管理者が削除の操作ができる 立場にいるためです。また、ウィキペディアの法的な運営主体であるウィキメディア 財団も、著作権侵害などの問題があった場合にはそれを速やかに解消する義務があります。
GFDLがどういう風にウィキペディアにあてはまるのかがわからない場合、そもそも 何がGFDL違反で、何がGFDL違反でないかがよくわからなくなり、従って管理者も 何を削除した方がよく何を削除しない方がよいのかなどがわからなくなります。
また、ウィキペディアは自由に利用できる情報資源を提供するはずなのですが、 実際には、ウィキペディアの記事を外部で利用するにはどうしたらよいのかが はっきりしなかったり、はっきりしていてもそれを実行するのが面倒だと感じる ようないろいろな要求事項があったり、新聞や雑誌などメディアの特性に 合っていなかったり、いろいろと不都合があります。
GFDLはウィキペディアをめぐる法的な権利と義務を規定している主要な要素のひとつ なので、一般的に、法律的な問題に結びついています。
この解決方法として、これまでに検討されたものは以下の通り:
−解釈がはっきりしない部分をはっきりさせる。(一応、Wikipedia:著作権などの 書き換えを通じて実現しました)
−GFDLを放棄する。(これは、今まで日本語版で作成した記事を全て放棄し、英語版 などからの翻訳もできないことになるので、今のところは真剣に検討されていません。)
−ウィキペディア日本語版に投稿されたものは、ウィキペディア日本語版の内部や、 その他の姉妹プロジェクトで利用する分には、GFDLに従わなくても法的には問題がない というように投稿者に許諾してもらう。(利用規約の草案にはありますが、導入はされて いません。)
−ウィキペディア内で、2人の参加者間で発生した著作権侵害については、すぐに 法廷に持ち込まずに、まずはウィキペディア内部の紛争処理手続きに従って処理する ように、参加者に承諾してもらう。(利用規約の草案にはありますが、導入はされて いません。)
−ウィキペディア内で、2人の参加者間で発生した著作権侵害については、それが 速やかに削除されなかった場合でも、著作権を侵害された人はすぐに法廷に持ち込まず、 まずはウィキペディア内部の紛争処理手続きに従って処理するように、参加者に承諾 してもらう。(利用規約の草案にはありますが、導入はされていません。)
−GFDLを作成・改訂しているFree Software Foundaion に働きかけて、GFDLをもっと ウィキペディアの事情に合うようなものに変更してもらう。(今のところ動きはありません。)
−GFDLと似ていて、より使いやすいという評判のあるクリエイティブ・コモンズの ライセンスに切り替えられるように、Free Software Foundationと Creative Commons に働きかける。(今のところ動きはありません。但し両団体の間でそういう話がある とは言われています)
4)現在採用されている解釈の要点
以下は、以上のような文脈をご存知で、既に著作権法も多少はわかっているし、 GFDLも一応は読んでみた、という方向けの解説です。
現在のWikipedia:著作権に提示されている解釈の要点は、「総則」のセクションにあります。
作品の単位、変更不可部分(Invariant Sections)、表表紙テクスト(Front-Cover Texts)、 背表紙テクスト(Back-Cover Texts)、タイトル・ページ (Title Page)、著作権表示、 ライセンス表示、などGFDLで使用されているものがウィキペディアで何にあたるか、 そこにまとめて書いてあります。
これまでの議論を参考にする限り、ウィキペディアにとっての考えどころは作品の単位です。
それから更に、「ウィキペディアにおける編集」というセクションで、以下のような点が触れられています。
−GFDLは改変した場合には必ずタイトルを変更しなければならないとあるが、それを守らなくてもよいのか? −GFDLにあるPublisherというのはウィキペディアでは誰にあたるのか? −GFDLでは、文書の過去のバージョンのネットワークロケーションの保存を要求しているが、それを満たす ためには何をするといいのか? −GFDLでは、文書を利用した場合、過去のバージョンの主な著者5名以上を挙げるように要求しているが、その 要求事項を満たすのに何をすればいいのか? −GFDLでは、文書を利用した場合、過去のバージョンのPublisherを明記するように要求しているが、その要求 事項を満たすのに何をすればいいのか?
「ウィキペディアにおけるコピー・アンド・ペースト」のセクションでは次の点に触れています。 −コピー&ペーストを行った場合には、コピー元のページの履歴情報をペースト先につけなければGFDL違反 になってしまうのではないか? −2つ以上のコピー元からペーストを行う場合にはどうするといいのか?
とりあえず以上です。
Tomos