Aphaiaです。
On Tue, 01 Feb 2005 18:45:58 +0900, 田中 一樹 <tanadesuka_wiki(a)hotmail.co.jp> wrote:
こんにちは。初めまして、[[利用者:Tanadesuka|Tanadesuka]]と申します。
いつもお世話になっております。MLでははじめまして。
私も今日でようやく1周年という駆け出しユーザですのでそう全体が見渡せるというのでも
ありませんが、そういった古いユーザの方はみな忙しくしておられるようなので手短に
わかる範囲で私が見聞している限りの話をお伝えするように努めてみます。
全体の理念やその中に於けるWikipediaの位置付け等に関する議論が
今回の予算申請の議論を通して深まっていたり、
meta-wiki-jaや英語版の方ではアナウンスもあるのでしょうか。
基本的に、情報は次のようなところで入るだろうと思います。
・メタウィキメディア
meta.wikimedia.org
・Foundation-l 財団の運営に関するメーリングリスト
・財団公式ウェブ
wikimediafoundation.org 理事会の議事録画でます
メタは作業場的色彩が濃いので、アナウンスがあるというわけではありませんが、
一部のプロジェクトはこちらで作業をしていますので、どのような活動が言語版横断的に
なされているかを見るには一番よい場所のひとつかと思います。またメタには
予算などの提示もなされます。
Wikimedia全体の理念は単に知識の共有を超えて、
教育分野や南北問題の解消にまで至っている様な気も致しますが、
そのような理解で間違いないとわたしは思います。ニュースレターでお伝えしてきたことが
的確に伝わっているのを見て、非常にうれしく思いました。この件に関しては、まもなく出る
ニュースレター第二号でも触れていますのでご拝読いただければと思います。
ウィキメディア財団はオンラインのフリーなリソースを提供することを本務としていますが
#詳しくは財団の約款(bylaws)をご覧ください。これはメタおよび公式サイトにあります。
とくに、少数言語によるコンテンツは積極的に育成したいと考えている人が少なからず
存在しています。スワヒリ語版などのユーザをオフラインで探してこようと努力している
方もいます。ただ特に財団として特定言語に重点をおいて活動するというわけではないようにも
思います。ただし英語偏重にならないし、させないという意識は、この運動を中核で支えている
人にはみな共有されていると思います。象徴的なのが,www.wiki*.org を英語版へのリダイレクト
だったのを、全言語へのポータルにしようという動きではないかと思います。アクセス数でだけ
いえば、英語版利用者が圧倒的に多いのですが、あえて特定言語に肩入れしているわけでは
ないということを明示しようというわけです。
また財団の予算は、マシンの購入と財団理事の広報活動を支えるのにほぼとんとんと
いったところで、オフラインの福祉事業に回るには資金が足りません。ですので、そのような
活動は公的機関や公的団体からの各種助成金を得ることでまかなおうというのが
現状だと考えます。たとえば NEH (米国人文学基金)や UNESCO の教育プログラムに
応募して、それで助成金を得て活動資金にするというようなことを考えているようです。
また、デジタル・デバイドの問題があり、オンラインでの活動は限度があります。そのため
印刷媒体への展開も第三世界への情報提供ということでは重視したいとする人がいます。
ただ、これは著作権の問題がからむため、財団の法的地位の安全のためには、財団自身が
印刷事業に手を出すべきではないと考える人もいるので、はっきりこういう方針だといえる
ような状況ではないようにも思います。
助成を得て行う印刷媒体での展開には、去年秋から準備が始まっている Wikijuniour が
あります。これは子供向けの教育的な読み物ということで、オンラインと紙で提供されますが
多くの言語、とくに第三世界で使われることの多いスペイン語などでの展開を特に重視して
います。なおこれは財団独自でしているのではなく、Beck Foundation からそのような読み物を
開発してほしいという offer と資金提供をうけてなされています。
またこれは計画中ですが、ともすると先進国の情報、それもサブカルチャーに偏りやすい
ウィキペディアのシステム内在的な情報の偏差を是正し、必要なかかれるべき情報を有償で
寄稿して貰うというようなアイディアも出ています。これは第三世界を含め、特定分野の学生に
奨学金を出して、ウィキペディアで現在欠けている部分の記述(英語版の国記事などをみると
やはり第三世界の情報は少ないようです)
また将来的には、南アジアやアフリカといったところで、ウィキペディアを使った教育プログラム
を提供する、あるいはウィキブックスによる授業を提供するというような計画ももっています。
これはかなり具体的な計画になっていて、東アフリカ・中央アフリカの英語またはフランス語を
公用語とする地域が年頭におかれています。ウィキペディアン同士のつながりによって、
一部の国では教育省の担当者と、ウィキペディアンが接触をし情報交換をするというような
こともおきています。
またウィキブックスはフリー教科書のプロジェクトですが、特にそうした国では教科書が全学年に
わたって有償であるため、経済的理由で就学が困難になる生徒や、あるいは学費は払えても
教科書をそろえられない生徒というのが存在しますので、そうした問題を是正したいという
考えが根底にあって展開されているプロジェクトです。実際にフランス語版では、
自分の授業を行うための教科書をウィキブックスに書き下ろし、それを教材として指定する
ことで、学生に教科書代の負担を軽減するということをしている方もすでにいらっしゃいます。
個人的な見聞の範囲ですが、お役に立てば幸いです。
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