ご挨拶の代わりに、異議申し立てをします。
標題の項目、あたかも南アフリカにはアパルトヘイト政策はなかったかのごとく、また仮にあったとしても、日本は何のもんだいもなかったかのように「友好関係が維持」と書かれています。しかし、高校社会科教科書レベルでさえ、アパルトヘイト政策の下、日本はその経済力で「名誉白人」なる不名誉な扱いを受け、国際的な批判を受けたことが書かれており、ご丁寧に「出典を示して欲しい」として削除されました。それ以前は問答無用の削除です。
裁判でさえ、証拠を示して証明すべき事実と、「公知の事実」については明確に区別されます。当然、「公知の事実」については証明も疎明も必要としません。
まさか、アパルトヘイトが数世紀も前の事実で、「証明が必要なほど一般的に知られていない」わけではないでしょう。日本人が人種差別に無知で、名誉白人として国連からさえ非難決議を受けたことを、たった十数年できれいさっぱり忘れたに過ぎないことを「出典」を示せ、というのは、むしろいまだ日本人が人種差別に無知なことを示す良い例というべきでしょう。
ちなみに、Wikipediaというところは、私見を書いてはいけないところだというご高説も賜りました。私見抜きの文章や言説が成立するのでしょうか? まして「公知の事実」が「私見」とは。
そもそも、このような「事典」を編纂するにあたり、先人たちが試行錯誤を繰り返してきたことを少しはまじめに検討して「編集方針」が立てられているのかさえ疑問に思うことが少なくなく、「出典主義」「私見」についての定義も用法も、真剣に討議されたとはとうてい思えないところがあります。
結果、「日本」の項目において南アフリカとの関係は、日本の無謬性だけが際立たせられる、という自民族・自国民中心主義に陥っているのでは? それではWikipediaを名乗る資格も疑問ですね。