大いに遅れて参加ですが、この一括削除の件について幾つか意見などを 書きます。
1.削除の是非について
このような対処をせずに済ませられるならそれに越したことはないと 思います。ただ、百楽天さんの場合には、独自に作成された調査ノート のようなものがあり、それを下敷きに文章を作成、投稿しているようで、 しかも侵害が起こらないようにきちんとノートが作成されているかというと そうでもないようです。過去に削除された記事についての議論の中で、 そのようなことが実際に起こった可能性を百楽天さんが指摘している 箇所があったように思います。
そうすると、ソースは特定できないけれども、念のため削除する、 というのは選択肢としてはありだと思います。
ところで、百楽天さんとはここ数週間メールでやりとりをして いました。
BBSの方では随分激しい言葉のやりとりなどもありますが、僕が 頂いたメールは丁寧なものでした。ただ、問題解決の方法について 提案したり、具体的な案件についての意見を述べたりしてはいる のですが、それが案件処理や、ユーザ間の不信・非難の 解消につながるかというと、今のところはまだわかりません。
百楽天さんに限らず、一般論として「一括削除」があっていいかどうか、 と考えてみると、慎重であるべきだろうと思います。
具体的には、投稿の規模、調査にあたっている人の数、想定できる 侵害の様態、などを考慮するべきだろうと思います。
今回の百楽天さんの件は、上記のような調査ノートを介して、 オンライン上にはない資料からの転載・翻案が紛れ込んだ可能性が 考えられているので、そうであればGoogleからいくら関連サイトを 調べても出てこない、ということもありえそうですので、その点を 重視して、ということであればよいかと思います。(ただ一括削除 をせずに済ませられるならその方がいいと思うのですが。。)
2.百楽天さんに問い合わせるべきかどうかについて
この件については、百楽天さんに今一度質問してみる方がよい、 と僕は思います。
合意を得られなくても、ウィキペディアコミュニティとしては削除、という 結論になるかも知れません。ですが、今一度投稿者の方の意見を聞いてみて、 反対を押し切る形での削除なのであればそういう決断を明確にする方がよい だろうと思います。
あと、プロバイダ責任制限法が想定している典型的な削除案件の処理手続き は、 A)あるコンテンツによって権利を侵害されている(と主張する)人が、 削除依頼を出す B)管理者がそれを受けて、そのコンテンツの投稿者に通知を出す。 C)投稿者が一定期間内に削除に反対しなければ、管理者は削除しても 投稿者に対する賠償責任を負わない。 投稿者が削除に反対すれば、 管理者は削除しなくても、権利を侵害されている(と主張する)人に 対する損害賠償を負わない。
というものだと思います。
これを今回の件にあてはめると、百楽天さんは 既に全投稿の削除に同意する旨を意志表示していますのでよいのではないか、 とも思うのですが、それがその前後の言動と必ずしも辻褄が合っている とも思えないので、その同意だけを採用し、他は無視、というのはやや 問題があるかも知れないと思います。
また、削除の理由が、「具体的にこのページからの転載があった」と 断定するものではなくて、「何かのソースからの転載・翻案が混入して いる可能性が否定できないから」ということであれば、 百楽天さんの方としても、あるいは理解して頂けるのではないかとも 思いました。(全ての件について同意が得られるかどうかはわからない ですが。)
ちなみに、この投稿者への確認をせずに削除を実施した場合や、投稿者 からの反対を押し切って削除した場合にどういう賠償責任を負い得るのか、 という点についてはよくわかりません。投稿者への確認手続きは、表現の 自由を確保するためにあるのではないか、と理解しているのですが、 それが具体的な賠償責任に結びつくのか、ウィキペディアのような件に あてはめられるものなのか、などはわかりません。
3.手続きについて
百楽天さんへの通知をすることの他に、手続きについてひとつ。
削除する前に、誰かが、履歴と、記事になっている(=著作権侵害の可能性 のお知らせなどではない)最後の版とを手元にバックアップしておくと、 万が一後から削除を取り消す必要が出た際にも、「復旧不可能」ということに ならずに済むのでよいかと思います。
そういうことにはならないかも知れませんが、もしも削除が不当だったという ことになり、具体的な賠償責任の可能性が浮上するとしても、速やかに復旧 できるのであればダメージを少なく抑えることができるだろうと思います。
とりあえず以上です。
Tomos