お詫びについて。百楽天さんからのリクエストで、詳細はまだわかりませんから どう展開するかもわからないですが、一応、Aphaeaさんが考えているような点に ついて書いてみます。
まず、僕がお詫びがありうると考えているのは、必ずしも法的な理由によるもの だけではないことを書いておきます。例えば、ノートページでいざこざが起こったり、 特定の案件の処理に関わった人に事実誤認があったことがわかったりした後に、 誰かがお詫びを表明する、というようなことを考えればわかりやすいでしょうか。
それから、日本法の文脈に限れば、削除依頼を出すこと自体が名誉毀損にあたる ということはないか、仮に何か依頼の仕方がまずくて名誉毀損にあたるとしても、 いわゆる違法性阻却事由を満たすものになる(=名誉毀損だが、違法ではないと される)と思います。
削除依頼は、原則として(1)専ら公益のために行われているもの(ウィキペディアに 含まれる著作権侵害の可能性がある投稿の検討、対処を促すことで、権利を侵害 されているかも知れない著作権者や、財団や管理者の、ひいてはプロジェクトの 利益を図る)で、(2)事実判断として述べられていることが真実であり(実際に 外部ページとの類似などがある、あるいは誰かがそのような指摘をしている、など)、 (3)公的な事柄に関わるもの(ウィキペディアでの投稿に関わる)だと思うので。
この辺りの考察は、以前、Carbuncleさんが井戸端BBSに書いていることと、ほぼ 同じです。 http://taurus.kake.info.waseda.ac.jp/wikip/joyful/joyful.u.cgi?mode=res&...
あえて付け加える点があるとすると、7月半ばの最高裁判決から、特定の行為が 著作権侵害であるかどうかについて判断を表明するようなことは、名誉毀損などの 文脈では、「事実の摘示」(事実判断を表明すること、ぐらいの意味)ではなくて、 「意見ないし論評」(事実判断ではなくて、その解釈やそれについての価値判断を 表明すること、ぐらいの意味)だということになったようです。
そして、名誉毀損の文脈では「意見ないし論評については,その内容の正当性や 合理性を特に問うことなく,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を 逸脱したものでない限り,名誉毀損の不法行為が成立しない」という風に判決文 中でも述べられているように、誤った判断をしたとしても、それだけで名誉毀損を 構成することはないと考えていいと思っています。つまり、この点からも、「お詫び」 は法的なものとは限らないと考えています。
具体的には、削除依頼に関しては、これまでに百楽天さんの書いた意見を読んで思った のは、著作権侵害があるかどうかよくわからないものについて、あえて著作権侵害だと 断定した場合があるなら、それがひとつ挙げられるかと思います。それがしっかりした 調査に基づいていないものであれば尚更問題ではないかと思います。(法的に、という ことではなくて、礼儀上・エチケット上の問題です。念のため。)
まあ、そういう点についてもお詫びをしたくない/しないべき、という人もいるかも 知れませんし、あるいは僕が知らないだけで既にお詫びをしている方もいるかも知れ ませんし、百楽天さんの出方次第でお詫びをするかどうかを決めたい、という人もいる かも知れません。あるいは、「著作権侵害のおそれ」とせずに「転載」「著作権侵害」 と断定することに、僕が理解していない意義があり、実はお詫びするべき点でないかも 知れません。
どうなるかはわかりませんが、考えているのはそういうことです。
仮に集団でお詫びを表明するということになれば、その際には、それが財団を代表するもの ではないことや、反対意見を持っている人もいること、なども明記するのがいいと思います。 ですが、ウィキペディア上で削除案件の処理について手違いがあったのであれば、その お詫びがウィキペディア上にあるというのは問題はないし、むしろ自然だろうと思います。
ただ、他の方々もどこかよそでやる方がよい、という意見であったり、謝罪から法的なリスクが 発生するとかいうことであったりして、百楽天さんもそれでいいのであれば、僕自身は別に ウィキペディア上でやることにはこだわりませんが。
Angelaさんも心配して下さっているようですので、一応連絡しておきます。
Tomos