[WikiJA-l] 「ウィキプロジェクト 中国」における「フォーマット」の

Dalaibaatur tonpuku.kirino @ gmail.com
2008年 5月 4日 (日) 22:43:02 UTC


「ウィキプロジェクト  
中華人民共和国」の一部である「記事名および記事中で民族自治行政体を列挙表示する場合のフォーマット」の部分は、2005年8月【「中国の民族自治行 
政体の表記原則の確立」に関する投票】によって成立した現行の「基準」です。
 ※ウィキプロジェクト 中華人民共和国
 http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:ウィキプロジェクト_中華人民共和国の行政区分

この基準(以下【現行の「基準(第1次)」】と略称)を適用すると、「記事名および記事中で民族自治行政体を列挙表示する場合」に、チベット民族の呼称 
が「蔵族」と出力されることについて、不満・疑問の声が多数あがりました。この基準を改訂するための議論に参加する人たちのために、現行の「基準(第1 
次)」制定に関わった当事者のひとりとして、この基準について以下のような項目で紹介を行います。

(1)中国の固有名詞(自治体名とくに民族自治行政体)の、ウィキペディアにおける日本語表記をさだめるために、ウィキペディアの執筆者が依拠すべき基 
準を定める必要性があること
(2)「話し合いで決めた基準(第1次)」制定当時の議論で問題点となったこと、その解決案などについての紹介
(3)現行の「話し合いで決めた基準(第1次)」の仕組み
(4)「チベット族」と出力させるための「基準」の変更案のバリエーション各種

この「基準(第1次)」が成立するための議論や、投票、投票結果は以下をご覧ください。このうち「過去ログ01要約」という文章は、投票にあたって「参 
照すべき議論(必須)」に指定された文章で、なぜこの「表記原則の確立」が必要か、どんな問題点が議論されたかが、多数の具体例とともに検討されていま 
す。この「基準(第1次)」が成立するにあたって、当時のコミュニティが検討したことがらについての、リアルタイムの資料です。この「基準(第1次)」 
の改訂ついて関心をもつ人々、とりわけこの「基準(第1次)」がらみで管理人としての権限を行使した方々、行使しようとする方々には、あらためてお目と 
おしいただきたいものです。

※ 「中国の民族自治行政体の表記原則の確立」に関する投票に関する資料
○「過去ログ01」(以下「必読文章」と略称)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:自治州_%28中国%29/過去ログ01要約
○投票所
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:自治州_%28中国%29/投票
○投票結果
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:自治州_%28中国%29/投票結果


(1)中国の固有名詞(自治体名とくに民族自治行政体)の、ウィキペディアにおける日本語表記をさだめるために、ウィキペディアの執筆者が依拠すべき基 
準を定める必要性があること

○「話し合いで決めた基準(第1次)」は、「ウィキプロジェクト  
中華人民共和国」の一部で、ウィキペディアの中で「少数民族の自治行政体」の名称をどうつけるか、というための基準です。
○なぜ、このような基準が必要になったか。
中国の固有名詞のうち、漢人にかんするもの(人・土地・モノetc)については、(1)漢字表記はそのまま、発音だけ日本語の音読みで行うという慣用が 
用いられています。しかし現在の中華人民共和国の領土は、中国の固有領域をはるかに超え、モンゴル(南部)、チベット、東トルキスタンなど、広大な非中 
国語地域を含んでおり、彼ら自身の言語でも固有名詞がつけられている場合が多数みられます。

日本語で外国語の固有名詞を表記するための慣用には、(1)のほかにも、(2)自称(原語の呼称)にもっとも近いカタカナで転写する、(3)日本独自の 
呼称を用いる などなどの慣例があり、非中国語地域の自治体の記事名をつけたり、一覧表をつくるという編集活動を複数の人間で行うなかで、どの慣用を用 
いて行うかで編集方針の対立が生じました。

(2)「話し合いで決めた基準(第1次)」制定当時の議論で問題点となったこと、その解決案などについての紹介

「話し合いで決めた基準(第1次)」制定当時の議論で問題点となったことについて、「必読文章」にもとづき当時の議論を紹介します。

 ※当時のリアル議論たは下記参照
・ノート「自治州(中国)」での議論
  http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:自治州_%28中国%29/過去ログ01
・「過去ログ01要約」(「必読文章」)
   http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:自治州_%28中国%29/過去ログ01要約

○どんな命名原理と具体例が検討されたか
いま中国領となっている非中国語地域の多くは、ひとつ以上の民族の自治行政体となっている場合が多く、その地や民族の固有名詞は、中国語と、民族語の、 
少なくとも二つ以上の公用語による命名がなされています。その命名原理には様々なパターンがあり、2005夏の議論では以下のようなパターンと具体例が 
検討されました。

そして、命名原理の相違ごとに日本語側の慣用の(1)(2)(3)のいずれを適用するかを投票によってさだめ、その結果、ウィキペディアで「中国の民族 
自治行政体の名称」を記事や自治体一覧の中で表記するための基準(第1次)が決定されました。

事例A : 固有名詞の漢字表記が民族語を音写したものである場合
 例 : ラサ (lha sa, 拉薩)→ラサ、フフホト(K02kekhota, 呼和浩特)→フフホト、維吾爾→ウイグル○,  
ウェイウーアル×、蒙 古→モンゴル○, モンクー×
  →民族語に基づき片仮名にて音写する事に就いて、「賛成/反対」で投票を実施
     フォーマット2-1項

事例B : 固有名詞が中国語で付され、民族名は中国名を音写したものである場合
 例 : 紅原県(こうげん-けん、フンヨン・ゾン, hung yon rdzong)
  →「中国語による表記を主とし、民族名を従とする事」について、「賛成/反対」で投票を実施
     フォーマット2-2項

事例C : 中国名と民族名とで、それぞれ意訳した名称を共有する場合
 例 : ツォチャンと海北、マロと黄南、ロカと山南
  →「中国名を主とする (記事名は中国名に基づいて立てる)」か、「民族名を主とする (記事名は民族語名に基づいて立てる)」かについて、多数決
     フォーマット2-3項

事例D : 中国名と民族名とがそれぞれ別個の固有名詞を有する場合
     例 : 維西とジョル、シャングリラ(香格里拉)とギャルタン、康定とタルツェド、蔵族(ぞうぞく)とプー族(もしくはプーリー)。
    →「中国名を主とする (記事名は中国名に基づいて立てる)」か、「民族名を主とする (記事名は民族名に基づいて立てる)で多数決。
       フォーマット2-4項

事例E : おもに民族名について、中国の少数民族としての正式呼称と、日本での慣用名が大きくことなる場合。
   「日本での慣用によって置き換えてしまうべき」という立場と、「中国の国民を構成する民族であるから、中国での正式呼称にもとづいて表記するべ 
き」という立場がありうる。
      フォーマット 2-5項

E-1 当該民族(及び同一名称の自治体)が中国と近隣諸国にまたがって分布して、中国の国外に居住する集団の呼称に基づく慣用がひろく流布している場 
合。 
    例 :(民族名)カザフとカザク、キルギスとクルグズ、タジクとタージーク、ロシア人とオロス族。
    例 :(行政単位名)モンゴル国のアイマク、ホショーと中国内蒙古のアイマク(盟)、ホショー(旗)。
   →「呼称をそろえる必要はない(記事名は中国の正式呼称に基づいて立てる)」か、「呼称をそろえるべきである  
(記事名は慣用名に基づいて立てる)」か、「呼称をそろえるべきである (記事名は民族語に基づいて立てる)」かで多数決
     フォーマット2-5-1項

 E-2 日本語の慣用は、一応自称を音写した名称ではあるが、欧州語もしくは近隣の諸国、民族の言語からの重訳なため、原語音とはズレが生じた例。か 
つ中国名は民族語による原音を音写している例。
    例 :(中国)カザフとカザク、キルギスとクルグズ、タジクとタージーク、
    参考 :(その他)カブールとカーブル(慣用名が維持されている例)
    参考 :ボンベイとムンバイ、ラングーンとヤンゴン(慣用名が変更された例)
   →「正式呼称を主とする (記事名は正式呼称に基づいて立てる)」か、「慣用名を主とする (記事名は慣用名に基づいて立てる)」かで多数決。
     フォーマット2-5-1項

 E-3  日本語の慣用は、自称を含む中国における正式呼称とはまったくことなる名称を欧州語もしくは近隣の諸国、民族の言語がつけており、その名称 
を慣用としてとりいれた例。
    例 :(中国)チベット族とプー(蔵)族、「チベット地方」とプー(西蔵)地方。
    参考 :(その他)インドとバーラト、バンコクとクルンテープ(慣用名が維持されている例)
    参考:(その他)エスキモーとイヌイット(慣用名を廃止し民族名を採用した例)。
   →「日本の慣用名」と「中国の正式呼称名」で多数決。
      フォーマット2-5-2項
   さらに中国の正式呼称が中国名と民族名とで別個の呼称を有している場合(例:プー族と蔵族、プー地方と西蔵地方)については、事例Dでの投票によ 
り決定

 E-4  民族語が日本人にあまり知られていなかったため、原音に基づくカナ表記とともに、漢字表記からの重訳も広く流通して慣用化している例。
    例 :(中国)ミャオ族(苗族)とメオ族、ダフール族とダグール族、シベ族とシボ族。
   →「民族語の原音に基づくカナ表記を主とする。」か、「漢字表記からの重訳を主とする」かで多数決。
     フォーマット2-5-3項

 E-5  中国音にも原語音にもきちんとはもとづかないいい加減なカナ表記が慣用化している例。
    例 :((中国)シーサンパンナ(シーサパンナ)とシップソーンパンナー(西双版納シーシュワンベンナー)。
    →原音に基づく表記と慣用との間で多数決。
       フォーマット2-5-4項

 E-6  中国朝鮮族の固有名詞。韓国語、朝鮮語における「原語音に基づくカナ表記」で記すか、漢族と同列に扱い、「漢字表記を残し、日本音で発音す 
る」か。
    例 :(中国)ヨンビョンと延辺(えんぺん)。
    →朝鮮語音によるカタカナ表記と、漢字表記を維持との間で多数決。
        フォーマット2-6項

そのほか、「民族自治業政体名のうちの普通名詞部分」(→州、県、自治区、○○族の部分)を民族語で表記するか、中国語で表記するかで多数決が行われま 
した。
投票要項の文面について意見を求めている期間中、中国でいう「○○族」の族は日本語でいう「民族」だから、民族と訳すべき、あるいは中国でいう州や県 
は、日本で言う郡に相当するから「郡」と訳すべきという意見はだれからもでなかったので、実際の投票では中国語か民族語かの二者択一となりました。

実際の投票結果、だれがどの選択肢に投票したかについては、下記を参照してください。

○投票所
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:自治州_%28中国%29/投票
○投票結果
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:自治州_%28中国%29/投票結果

チベット民族の呼称を「蔵族」と出力させる基準はみっつの部分から構成されており、次節でその仕組みを紹介しますが、この基準を選ぶにあたっての議論 
や、当時の投票参加者の投票行動については、
  ・「必読文章」「投票結果」D項の議論・投票
  ・「必読文章」のE-3項(投票結果でのE-2項)
  ・「必読文書」の「いかなる言語にもとづくか」と「投票結果」の「普通名詞の部分について」
を参照してください。

(3)現行の「話し合いで決めた基準(第1次)」の仕組みについて

この基準が適用されるのは、「記事名および記事中で民族自治行政体を列挙表示する場合」と限定されています。
E項では、「日本語による慣用」と「中国での正式呼称」が相違する場合について議論され、投票は「中国での正式呼称」を優先する結果となりました。
私も「中国での正式呼称を優先する」に賛成表を投じていますが、その時の判断は、「自治体の名前という固有名詞」であるのだから、当事者の自称どおりに 
「記事名や一覧表」で表記されるべきだという判断でした。


○「話し合いで決めた基準(第1次)」がなぜチベット人の呼称を「蔵族」と出力するか
つぎに、この「話し合いで決めた基準(第1次)」が、「自治体の名称中に含まれるチベット民族の呼称」を、なぜ「蔵族」と出力するかについて解説します。

※「必読文章」
   http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:自治州_%28中国%29/過去ログ01要約

チベット民族の呼称は、上記「必読文章」のD項、及びE-3項の実例として検討対象になっていますが、【「中国における公用語の正式呼称(中国語と民族 
語(チベット語))がそれぞれ別個の名称をも」ち、なおかつ日本語の慣用名が「自称を含む中国における正式呼称とはまったくことなる呼称を欧州語もしく 
は近隣の諸国、民族の言語がつけており、その名称を慣用としてとりいれた例」】に該当します。

日本語による慣用/公用語による正式呼称(中国語)/公用語による正式呼称(民族語)の順で表示すると次のようになります。

  チベット人(民族・族)/蔵族/bod rigs

チベット/蔵/bodの部分が固有名詞、人(民族99族)/族/rigs の部分が普通名詞ということになります。

投票の結果採用された基準を適用すると、
・普通名詞の部分は、「中国語に基づく」という基準が採用されたので、その結果「族」という表記が出力されます。

・固有名詞の部分は、まず、E-3項の投票結果により「中国での正式呼称」が「日本の慣用」(チベット)より優先され、D項での投票で「民族 
名」(プー)よりも「中国名(蔵)を主とする」という基準が採用されたので、「蔵蔵」という表記が出力される、ということになります。

○チベット民族を「蔵族」と出力する基準

以上を整理します。チベット民族の名称として「蔵族」と出力させる現行の「基準(第1次)」は、次の三点です。

(1)普通名詞の部分(郷・県・州・自治区、○○族など)は、中国語の漢字表記をそのまま用いて日本音で発音する( 1項)

○固有名詞の部分
(2)中国の正式呼称と日本で通用する慣用名が相違する場合、中国の公用語による正式呼称を用いる(2-5-2項)。
(3)中国の正式呼称が中国語と民族語とで別個の名称を有する場合、中国語の呼称をもちいる(2-4項)」。


(4)「チベット族」と出力させるための「基準」の変更案のバリエーション各種

中国の民族自治行政体の「記事名および記事中で民族自治行政体を列挙表示する場合」に、チベット民族の名称を「蔵族」と表記する出力結果に疑問や不満を 
述べた人々に対しては、「チベット族」と出力するような基準を提案してくれるようお願いしているのですが、いまのところ
 ・「蔵族」という表記にひたすら不満をのべる
 ・「蔵族」という表記が用いられている記事名や一覧表記を「チベット族」という表記で置き換える実力行使を強行する
 ・「チベット族」という表記をつかってのテンプレートを作成し、各記事に表記させることを強行する
ような人ばかり多く、現行の基準を「2005年8月におけるコミュティの意思」として尊重した上で、これに「かわる新たな基準を提案する」という姿勢で 
対案を提示することにとりくもうという人がちっとも現れてくれていないのがまことに残念な点です。

そこで、以下に「チベット族」と出力させるための「基準」の変更案のバリエーション各種を紹介し、その上で、
 ・「基準(第1次)」を現時点での「現行の基準」として認める
 ・その上で「チベット族」という表記は、「基準(第1次)」を改訂するという手段を通じて追求する
という手順でするめることについて同意をもとめたいと思います。

2005年の議論であまり問題とされなかった現行の基準(第1次)の弱点としては、次のような点があろうかと思います。

A. 地名と民族名とを、「固有名詞」として一括し、単一の基準を適用してしまっている。
B.  
国名や民族名については、「当該国・当該民族自身の言語による自称」ではなく「英語による自称」にもとづいて日本語の呼称を定めている事例が多数ある。

中国の民族自治行政体は
     【地名】+【自治主体の民族名】+【行政単位】(例 海西モンゴル族蔵族自治州)
という組み合わせで、呼称が定められています。2005年8月の投票では、地名と民族名とを区別せず、「固有名詞」として一括し、日本での慣用と中国の 
正式呼称と、どちらを優先させるかという形で2者択一の投票をおこない、「中国の正式呼称を優先する」という判断を行いました。


A. 地名と民族名とで個別に適用する基準を検討しなおす 

一般論として、外国の固有名詞を日本語でどう表記するかという問題について「当事者自身の自称に基づく」という基準をもちいることは、最近優勢になりつ 
つある傾向です。ただしこのような「原音主義」は、個人名や地名など、文字通り個々に固有の呼称に対しはより強く適用されるのに対し、民族名や国名など 
では、慣用名がまだ卓越する場合がおおい、という現状があります。

B. 必要に応じて、「当事者が英語で自称している呼称」に基づく表記を用いる
 「必読文章」にも具体例を多数紹介してありますが、外国の固有名詞を表記する場合の日本語の慣用として、国名や民族名では、「当該国・当該民族自身の 
言語による自称」ではなく「当事者が英語で自称している呼称」に基づくカタカナ表記を用いる、という慣用も広く行われています。
  バーラトとインド、ツルナゴーラとモンテネグロ等。チベットも同様で、プー/蔵とチベット、という関係になります。

「百科事典のための基準」という観点からみると、「表記のヌーベルバーグを出力してしまうような、理想論にもとづく基準」ではなく、「日本で現に行われ 
ている表記を出力させる基準」の集成(→あつめ、まとめること)をめざすのが、もっとも妥当な方法かと思います。

上記A,Bの2点を参考にしていただけるなら、すでにウィキペディアの各国、諸言語ごとに検討されている固有名詞の表記の基準と矛盾することなく、「チ 
ベット族」という表記を出力されるような、「基準(第1次)」の改定案を提示することは十分に可能であるとおもわれます。




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